10月24~26日の2泊3日で、ポルトガル、ポルトとその近郊を訪ねました。
ポルトは首都リスボンに次ぐ人口25万人超を抱えるポルトガル第2の都市で、大西洋に流入するドウロ川の北岸の丘陵地に築かれました。今では国の重要な商工業地であるこの町の起源はローマ帝国時代まで遡るのですが、その当時カーレ(Cale)と呼ばれる州の一部であり、港ポルトゥス(Portus)の役割を担っていたことから、ポルトは元々はポルトゥス・カーレと呼ばれていたそうです。そしてこれこそが現国名ポルトガルの語源とのこと。この地域一帯を支配していた貴族が南下し現在のポルトガル領全域を治めるに至り、国が興ったことによります。
さて、そんなポルトの旧市街はユネスコの世界遺産に登録されています。こちらがポルト旧市街とドウロ川全景。明るい陽射しの下、赤屋根に彩られた家々が丘に貼り付いている姿が美しく印象的でした。空の青に赤が実に良く映えます。
旧市街の中ではこのような光景が広がっています。リスボンと同様にレトロな市電がゆっくりと町中を走り抜け、そしてその背後にはアズレージョが側面に施された教会があります。このアズレージョというのはポルトガル建築に極めて特徴的なもので、いわゆる絵タイルです。歴代のポルトガル国王が好んだため定着し、教会のみならず、宮殿、駅舎、そして一般の家屋にまでも今でも見られます。町歩きをしていると、青い豪奢なアズレージョをよく目にしました。

こちらはドウロ川と夕焼けに浮かぶドン・ルイス1世橋。この橋が旧市街と対岸を繋いでいます。橋の上をゆっくりすれ違う電車が、どこか郷愁を誘っていました。久しぶりにゆっくりと夕焼けの空を眺めました。世界中どこにいってもこの瞬間だけは息を飲んで見守りたくなります。空って本当に美しい。
そして黄昏のドウロ川。この日も1日ポルトの町が穏やかであったことを確認しながらかのように、水面がゆっくりと青紫色に変わっていきました。
このようにポルトは旧市街そのものが見所なのですが、その他金箔で彩られたサン・フランシスコ教会、ポルト商業組合が建てた豪奢なポルサ宮などが見所でしょうか。町中が博物館、・・・といったイメージでは残念ながらありません。
でもポルトは、実に穏やかなで素敵な町でした。リスボンを訪ねた際にもそのように感じたのですが、ヨーロッパの中でもポルトガルは比較的いわゆる「田舎」であるので、人々が慌しく行き急いではおらず、その空気感が町全体に広がって時間が緩やかに流れているように感じられるのかもしれません。東京、ロンドンで長年過ごしてきた者にとっては、ただその町に身をおくだけで心が穏やかになっていくような気さえしました。
ポルトを訪ね、ポルトガルがまた好きになりました。そう思いつつ、最後に川沿いのカフェで飲んだビールが、実に旨かったのでした。